ある日,猫を拾った。
うす暗く,しょぼしょぼ降る雨の中,小さなミカンの絵が描いてあるダンボール箱で,そいつは鳴いていた。
(ミャア!)
思った以上に元気だ。
まだ小さなしっぽをゆっくり揺らし,興味津々の瞳でこちらを見上げている。毛並みは悪くない。
頭を撫でてやる。人に脅える様子も無い。
「飼い猫が増えて,手に負えなくなったか・・・」
丁度,彼女に相手にされなくなって淋しくしていたところだ。何分可愛いものには目の無い俺である。頼まれたプリンが雨に濡れないようにしながら,小さな命を抱えて帰路に着く。